2009年09月12日

常連さんのつくり方



幸楽苑という中華そばのチェーン店があります。


290円の中華そばで一躍名が知られるようになりました。


人気の秘密はもちろん290円の中華そばをはじめとする価格の安さですが、そのほかには「客さんに安心感を与える」ことにあります。


幸楽苑は2008年には400店舗を突破。


全国どこの店舗でも同じ味を提供しています。


東日本に店舗が多いそうですが、全国どこの幸楽苑でも同じ味が楽しめるのです。


こんな経験はありませんか? 


海外の見知らぬ町でお腹が空いて食堂を探したけどみつからず、腹ペコになって歩いていたらマクドナルドを発見。


おもわず「ホッ」と安心のため息がもれた。なんていうことはありませんか。


全国どこでも馴染みの味が楽しめるとなれば、お客さんはなにより安心できます。


「安心」はやがて「馴染み」へと変化。お店ならやがて「常連」にもなるでしょう。


安心は人の心に余裕を持たせます。余裕があれば間違いや勘違いを少なくすることができます。


文章でも体裁を整えていつも同じようにすれば、読み手はそれだけ安心
します。


気負いや緊張無しに安心して文章を読みはじめれば、余裕がありますかから多少難しい内容でも理解しやすくなります。


メニューの一面にデカデカと「中華そば290円」と印刷されていたときは、幸楽苑の名は広く知れ渡らせることができました。


しかし、お客さんは290円の「中華そば」ばかり注文するので利益率は低下したそうです。


そこで290円の中華そばの表示を、他のラーメンと同じ大きさで並ぶようメニューを作り変えました。


これまでどおり290円の中華そばがあることには変わりませんが、お客さんは他のラーメンや餃子も注文してくれるようになり、利益率が上がったそうです。


「中華そば290円」というインパクトは大事。でも、経営していくためにはメニューの作り変えという手直しも必要で、なおかつ全国どこの店舗でも同じ味でお客さんに安心感を与える。


文章も見出しやタイトルはインパクトが大事です。でも、最後まで読んでもらうためにはいつも同じように文章の体裁を整えて読み手に安心感を与え、わかりにくさの可能性を秘めた箇所に気づいて手直し(リライト)することも必要なのです。


そうすればきっと読者はあなたが書く文章の常連さんになってくれるでしょう。

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2009年08月31日

いつのまにか使ってるかもしれないマイナス呪文



ホイミを唱えれば、体力が回復。


ラリホーを唱えれば、眠くなぁ〜る。


これらはテレビゲームソフトの「ドラゴンクエスト」シリーズで有名な呪文です。


ドラゴンクエストで遊んだことがある人にとって呪文は、ゲームの世界でのおもしろい能力という認識が強いのではないのでしょうか。


でも「呪文」は呪術的行為と共に唱えると神秘的な力が現れるとされる言葉や文句のことです。


いわゆる「まじない」や「呪い」の一種。どちらかというと負の性格をもったものです。


では、もしも日々呪文を唱えていたらどうでしょう。


「呪いをかける日々」をすごしていたとしたら?


そんなことするわけないやん。とアナタはおもうことでしょう。


でも、呪文とまではいかなくても、それに近い「負」の言葉をまいにち口に出しているかもしれません。


どういうことかを、例文を使って説明しましょう。



<例文1>

(夏休み中)

A子「○○ちゃんに声をかけなくていいの?」

B子「うん、いいの。だって私たちは海に泳ぎに行くけど、○○ちゃんは山に登山しに行くしね」



B子の台詞に注目してください。


B子の台詞の意味は、私たちは海に泳ぎに行く予定があって、○○ちゃんは山に登山に行く予定があるから、それぞれに既に予定があるから声をかけなくてもいいというものです。


内容としては特におかしなところはありません。


でも、ことばの「音」に留意すると、ちょっと呪文っぽく感じる可能性があります。


では、B子の台詞の「音」を変えずに、意図して次のように書き換えてみましょう。



<例文2>

B子「うん、いいの。だって私たちは海に泳ぎに行くけど、○○ちゃんは山に登山死に行く死ね」



なんということでしょう!


急におそろしい文になってしまいました。


「山」と「死」の組み合わせには「遭難」や「落石」や「転落」といった「負」の雰囲気が漂います。


もちろん「死」を意識して「○○ちゃんは山に登山しに行くしね」と言うことはないでしょうけれども、話し言葉の場合にはちょっとした抑揚の違いや発音の仕方によっては「しに行くしね」が聞き手に「死」を連想させてしまうこともあり得ます。


しかも「し」が近い位置で2度使われているから尚更です。


B子にそのつもりが全くなくても、いつのまにか聞き手に「負」の雰囲気を持った言葉を連想させてしまいかねないのです。


聞き手もB子が「死」について話しているわけではないことを百も承知していも、「しに」「いく」「しね」という音の連なりによって容易に「死」を連想させられてしまうこともあるでしょう。


言葉はその意味だけでなく「音」にも注意する。そしてなるべく「負」を連想させるような言葉の選択と組み合わせを避けましょう。



<リライト例>

B子「うん、いいの。だって私たちは海水浴に行くけど、○○ちゃんは登山に行くからね」


「海に泳ぎに行く」 →「海水浴に行く」

「山に登山しに行く」→「登山に行く」

「行くしね」    →「行くからね」


夏に海に行って泳ぐといえば海水浴ですよね。


夏に山に行ってすることといえば登山ですよね。


だから「行く」目的を「海水浴」と「登山」にしました。


そして文の終わりの「○○だから」という理由の部分を「行くからね」にしました。


これならばもうこわくないですよね。ちっとも呪文っぽくないでしょ。


ちょっと音を意識するだけで「呪いをかける日々」に別れを告げることができます。


呪文よ、さようなら。


呪文はテレビゲームだけにしましょうね。



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