2009年10月02日

わざわざ用いなくてもよい接続詞

<問い>

「色は青、赤、(A)白とする。形は円形(B)四角形、(A)三角形(B)五角形とする。以上の件を満たしても(C)認可されないかもしれない」

文中の(A)(B)(C)それぞれにあてはまる適切のものは以下のうちどれか。


(1)あるいは

(2)または

(3)もしくは



<解説>

「あるいは」は「または」「もしくは」と同じような意味で用います。

「あるいは」は「ひょっとしたら」の意味で用いる場合がありますので、「または」「もしくは」が使えそうなときには「あるいは」を使いません。

すると(C)には(1)の「あるいは」があてはまります。


「または」はふたつの語句を並列するときに用います。ふたつ以上の語句を並列するときは、はじめのほうをテンで区切り、最後の語句をつなぐのに用います。

すると(A)には(2)の「または」があてはまります。


「もしくは」は二組の語句が並列したときに、各組の選択と接続に用います。

すると(B)には(3)の「もしくは」があてはまります。



<答え>

「色は青、赤、または白とする。形は円形もしくは四角形、または三角形もしくは五角形とする。以上の件を満たしても、あるいは認可されないかもしれない」


以上の接続詞に関する語句は各人によりまちまちに用いられますので、あくまでひとつの用例としてとらえてください。


今回は、接続詞のなかの「あるいは」は、似たような意味で用いる他の接続詞を使える場合は、使用を控えるのがポイントです。

「あるいは」は、副詞の「ひょっとして」としての意味でとらえられる可能性が高いからです。


接続詞の意味でわざわざ「あるいは」を用いなくてもよい、ということです。



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posted by タカ at 22:53 | TrackBack(0) | わかりやすくする文章術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月29日

いつのまにかアーティスト?


アーティストときいて、あなたはどんな人物を思い浮かべますか?


芸術活動にはさまざまなものがります。


絵を描く。


様々な素材を用いて立体的に制作する。


粘土で陶磁器をつくる。


小説を書く。


家を建てる。


作曲する。


こうした芸術活動を行う人のことをそれぞれ美術家、彫刻家、陶芸家、小説家、建築家、作曲家といいます。


そして、いろいろな形態で作品を制作し、その芸術活動が特に社会的に広く認められた人のことを芸術家といいます。


すると、芸術家=アーティストときいて思い浮かべるのはレオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロといった人物というのが妥当でしょう。


ところが近年の日本のマスメディアでは、アーティストが歌手のことを指している場合が見受けられます。


テレビの歌番組では「今週のアーティストが登場」といった使われ方をしているのを見たことがありませんか?


いったい、いつから歌手をアーティストと呼ぶようになったのでしょう。


言葉は時代や状況によってさまざまに変化しますから「これが絶対に正しい」というものはありません。


しかし、変化する言葉にも種類や傾向があります。


たとえば新語。新語とは、新しく作られて最近使われるようになった語のこと。新造語ともいいます。新語のいくつかは外国語から取り入れたものもあります。


すると「歌手のみを指すアーティスト」も新語なのでしょうか。


新語とすべきか否かは、ここでは取り上げません。


ここで大事なのは「歌手のみを指すアーティスト」という言葉がより広い層の多くの人々に誤解されたり不快感を与えたりしないかどうかです。


まずは誤解から考えてみましょう。


先にも言及したとおり、芸術家=アーティストには、いろいろな形態で作品を制作し、その芸術活動が特に社会的に広く認められた人のことを指すという共通認識があります。


この共通認識を持つ人々がアーティストときいて思い浮かべるのはレオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロといった、複数の表現形態で芸術活動を行って広く社会的に認められた人たちです。


こうした人々は、あるひとつの表現形態だけを行う人のことを、それぞれの表現形態によって美術家、彫刻家、陶芸家、小説家、建築家、作曲家と呼びます。


それぞれの○○家はたしかに芸術家=アーティストではありますが、とりたてて歌手だけをアーティストとは呼びません。


ですからアーティストときいてスグに歌手だけを思い浮かべることはありません。


「アーティスト=歌手」が共通認識となっていないために、誤解が生じ
る可能性があります。


また、共通認識が無い状態で「アーティスト=歌手」だといわれても、違和感が生じるでしょう。


すると「アーティストが歌手のみを指す」というのは、まだ定着していないことになります。


ある業界はブームを作り出すためにさまざまな造語を考えます。例えば文学の分野では「J文学」なんていうのもありましたね。


それはさておき、日本の音楽業界ではいつの頃からか歌手のことをアーティストと呼びはじめました。


それは、なんとなく横文字でカッコいい響きがあるから歌が売れるようになるんじゃないか、いや売れてほしい、という願望の表れだったのかもしれません。


テレビをはじめとするマスメディアが「歌手のみを指してアーティスト」と呼ぶことに乗っかって、歌手自ら「僕はアーティストだから」や「ウチはアーティストやから」というのはちょっといただけません(あえて笑いを誘うという使い方はアリだと思います)。


「歌手」ではダメなのでしょうか。


「歌手」ではカッコわるいのでしょうか。


「歌手」ということばは、カッコいいと思います。


歌い手さん。歌手。なんてわかりやすくてシンプルなことばでしょう!


もしも作曲も作詞もするのなら、自作自演歌手。ちょっと洒落てシンガーソングライター。


これでじゅうぶんにカッコいい。


シンガーソングライターということばは、1970年代前半から使われていますから、もうかれこれ30年以上経っています。


これぐらいの期間使われていれば、シンガーソングライターときいて他の活動をする「誰か」と誤解することはありませんし、言葉の響きに違和感を持つ人もほとんどいないでしょう。


しかし「歌手のみを指してアーティストという」のは、まだ誤解と違和感の範疇を抜け出ていませんので、使い方にちょっとした配慮があるといいですね。



<例文>

「○○記念イベントに出演予定のアーティスト一覧」


<解説>

例文の書き手にとっては、このイベントに出演するアーティストといえば歌手に決まっていると考えているかもしれません。

しかし、どんなイベントなのかが容易に推測できるイベント名ではないかぎり(容易に推測できるイベント名の例:○○音楽祭)アーティストの種類を明確にする配慮が必要です。


<リライト例>

「○○記念イベントに出演予定のアーティスト(歌手)一覧」


「( )カッコ」は便利です。カッコ内が長いとやや冗長な印象を与えると思えるかもしれませんが、誤解を避けるために付け足す文言として使われることが多いですから、読み手としても書き手の配慮を感じることができます。

配慮を感じた読み手は、書き手との距離を縮めることができますから、理解の度合いもアップしやすくなります。

とはいっても文の流れを邪魔しない程度に、カッコ内の文字数はなるべく少なめにするほうが良いでしょう。


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posted by タカ at 15:33 | TrackBack(0) | わかりやすくする文章術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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