2006年05月19日

旭山動物園


テレビのドラマ仕立ての番組で、行動展示で有名な旭山動物園の物語が放映していました。

旭山動物園の噂(月間入場者数で上野動物園を抜いた。展示方法に特徴がある等)はよく小耳に挟んでいたのでその番組を観てみました。

それで再確認した大切なこと。

それは、来場者に動物のことを知ってもらおうと思ったら、その動物の一番身近にて、一番よく知っている者の意見・提案に耳を傾けるということ。

テレビ番組の内容によると、旭山動物園の園長はどんな展示方法がよいかを飼育係のみんなに訊いてみたのです。

動物と一番身近に接している者だからこそ、動物のためにも、来園者のためにもなる動物園のアイデアを出すことができる。

この最も大事なポイントをわかっていて、さらにそれを活かすことができたから旭山動物園の盛況に繋がったのだと思います。

飼育員の意見に耳を傾ける。

これに気づくことが第一ステップです。このステップに気付かない、またはこのステップに足を乗せようとしない場合が多々あるなかで、この第一ステップにしっかりと立つことはすべてのはじまりです。

しかし第一ステップに立つフリをするのはありがちです。つまり、現場の人間の声に耳を傾けます(傾けています)というアピールを形としてだけするということです。

ところが重要な第二ステップに足を乗せる段階になると、ごく一部になってしまいます。第二ステップとは現場の人間(飼育員)のアイデア・意見を「活かす」ことです。

旭山動物園の園長は飼育員の意見・アイデアをもって実際に市長にプレゼンテーションします。これが成功して、動物園に新しい施設を作るための予算が出ることになるのです。(第二ステップ達成)

その後も飼育員の意見・アイデアを豊富にとりいれた新施設を次々に作っていくと、来園者に大変好評となったのです。(第三ステップ〈結果〉)

旭山動物園における飼育員とは、例えるならば「翻訳者」です。

動物の一番近いところにいて一番よくわかっているAさん。Aさんは人間(人間も動物の一種だけど)なので、来園者の立場にもなれます。

動物と人間の両方にとってベストな環境を整えるためには、両方のことを熟知する必要があります。
動物と人間の間に立って「翻訳」することで、動物のためにも、人間のためにもなる施設を作ることに成功した旭山動物園は、あらゆる業種で活かせる良き手本なのです。

重要なポイントは、第一ステップだけでなく第二ステップに立つこと。

一番やってはいけないのは、第一ステップに立つフリだけをすること。

ぜひ旭山動物園に行ってみたいです!
posted by タカ at 02:24 | Comment(0) | TrackBack(1) | マーケティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月17日

ねるとん告白タイム効果でわかる、海猿人気の秘密

フジテレビと東宝を中心とした伊藤英明、加藤愛主演の「海猿」シリーズは三部作なら成る。

第1作は映画「海猿」。第2作は連続テレビドラマ。そして第3作が映画「LIMIT OF LOVE 海猿」である(映画でいえば第2作)。

さて「海猿シリーズ」にする利点はなにか?

最大の利点といえるものは、ズバリ「観客の感情移入」である。

映画「海猿」では主人公仙崎が潜水士になるべく訓練する日々が描かれる。そこではセールスの仕事をしていた仙崎がなぜ海上保安官になったのか。そしてなぜ潜水士になろうと思ったのかというバックグラウンドが、女性・環菜との出会いを通して描かれる。

主人公のバックグランドを知り、潜水士になる動機を知った観客の多くは、目標をもってがんばる仙崎を応援したくなる。

そこに恋(環菜)も絡んでくるようになると、まさに「恋に仕事に」一生懸命な仙崎をますます応援したくなるというわけである。

さらに環菜にしても、潜水士になるべくばんばっている仙崎と出会うことで、自分がほんとうにやりたいことにチャレンジする勇気を持ち、一歩踏み出すきっけかを得ることができたのである。
具体的にはファッション雑誌の編集員から、アパレルメーカーでファッションデザイナーをめざすといった転職だ。

潜水士をめざす仙崎。
ファッションデザイナーをめざす環菜。

映画「海猿」での主目的は、メインキャラクターのふたりのどちらにおいても観客の感情移入を成功させることにあったとみてとれる。

そして第2作の連続テレビドラマは、横浜管区に潜水士として配属された仙崎の出発と、アパレルメーカーで新米アシスタントとしてファッションデザイナーを目指して出発した環菜の様子が描かれる。

連続ドラマの利点というのは、週1回約3ヶ月にわたってドラマ放送があることだ。定期的にドラマを観ることで、親密感が増すという仕掛けだ。

かつて1987年から1994年まで放送していた、高視聴率を誇る集団お見合いお見合いテレビ番組(フジテレビ系列)「ねるとん紅鯨団」以下ねるとん)に例えるならば、映画「海猿」はいわば自己紹介による第一印象。連続ドラマはフリータイムによるアピールとアプローチ。そして「LIMIT OF LOVE 海猿」告白タイムによる結末である。

自己紹介でおもしろいキャラクター「A」をみつけたアナタは、フリータイムで「A」が意中の人にうまくアプローチできるかどうか気になって観つづける。

さて、あなたはこの後の告白タイムを観ずにテレビのチャンネルを変えるだろうか?

告白タイムで「A」が緊張と不安と期待が入り混じった複雑な表情のなか、上手に喋れずに噛んだりしながら、けっしてスマートとはいえないながらも一生懸命に告白する姿を固唾を飲んで見守ることだろう。

「A」がスマートに告白できなければできない程「A」を応援したくなる。それはきっと「A」の不器用さと弱さを敏感に感じ取ったアナタは彼のなかに自分とおなじ部分を少しでも感じとったからかもしれない。

こういった過程を「感情移入」という。


「LIMIT OF LOVE 海猿」を単体の映画作品として観ると、ストーリー構築や演出に限っていえば、お世辞にも上手とはいえない。

なにかありそうでなにもなかった消化不良気味の、偶然フェリーに乗り合わせていた女性テレビレポーター。

とってつけた感が拭いきれない乗客(海老原真一)とフェリー売店店員(本間恵)。

都合よく船内に取り残されるバディ・吉岡。

プロポーズ中は船内の爆発も傾きもストップする「ご都合時間ワールド」。

さらに、わざわざ偶然にフェリーに乗っていた設定にしたフィアンセ・環菜をそのまま下船させたのはなぜだろうか?

有名作「タイタニック」と同じような展開になって類似性を指摘されるのを避けたかったのか。たとえそうだとしても、せっかく船に乗っていたという設定にしたのだから、危機的状況(ストーリーにおける障害)をふたりで乗り越えるほうがストーリ展開はよっぽど楽になる。

それをあえてやらなかったのはおそらく第1作映画「海猿」と連続ドラマによって、既に仙崎と環菜の間には障害を乗り越えた信頼関係がほぼ築き上がられており、あとは最後の一押しを
するだけの状態にあるのだという自信の表れだと推測できる。

ふたたび「ねるとん」で例えれば、告白タイムでの「LIMIT OFLOVE 海猿」はけっしてスマートではないが、既に充分に感情移入したファンにとっては不器用・不恰好なことなどたいして気にならないばかりが、それがかえって告白(プロポーズ)を劇的に盛り上げてくる要素になっているといえよう。

「ねるとん」は驚くべきことに毎週土曜日23:00〜23:30の30分間番組であった。30分番組のエッセンスを抽出して、三部構成にして成功した作品。――それが「海猿シリーズ」だ。

「LIMIT OF LOVE 海猿」の作りが拙いように見えるのも実は計算のうち?

そういえば「ねるとん」も「海猿シリーズ」も、どちらもフジテレビ系列である。
posted by タカ at 16:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | マーケティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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