2010年01月08日

なるべくボロが出ないようにするには


<例文>

「以前のように活発に動かなくなった最近の子供は、足腰の筋力がついていない子供が多いようだ」


<解説>

これは、無意識で使っているであろうケースが多くみられる、注意しなければならない「●●のように○○でない××」という形の文です。

例文は2つの意味に解釈できます。


■「以前の子供は活発に動いた。しかし最近の子供は活発に動かない」

■「以前の子供は活発に動かなかった。それと同じく最近の子供は活発に動かない」


このようにあいまいな文の典型が「●●のように○○でない××」の形なのです。

ほかにも例文のおかしな箇所をみつけてみましょう。

まず「以前の子供」。いったいなにを基準にした「以前」なのでしょうか。

おそらく書き手のいいたいことは「昔の子供」でしょう。

それから「最近の子供は●●な子供が多い」もリライトしたようがいいでしょう。

なぜなら、一文のなかに「子供」を2度使っているからです。

「最近は●●な子供が多い」とすれば「子供」という単語を一度使うだけで済みます。

また「活発に動かなくなった子供」は冗長です。

「活発」には、いきいきとして勢いのよいさまや、活気のあるさまの意味がありますから「動」をセットで使う必要はありません。

そして「子供」は大人に対する小児の意味もありますが、「ども」は複数を表す接尾語でもあります。なので「子供」と「多い」の組み合わせに留意しましょう。

さらに「足腰の筋力がついていない子供」がほんとうにいたら、歩くことさえできません。病気でもないかぎり、筋力はゼロではないと考えるのが普通です。ですから「足腰の筋力がじゅうぶんについていない」とすべきです。


<リライト例>

「昔は活発な子が多かった。けれども最近はおとなしくてあまり運動をしないために足腰の筋力がじゅうぶんについていない子が多いようだ」


文の形を「昔は●●」「今は●●」に変えたので、それに合った語句を用いました。

今回の例では、昔の子は「活発」で最近の子は「おとなしい」という対比を明確にしました。


長い文が格好いいと思っている人もいるでしょう。けれども文は長ければ長いほどボロが出やすくなります。

ボロを隠そうと「テン」を多用すると文のテンポが崩れ、ガクンガクンとクラッチが繋がりにくいエンスト寸前の車みたいになってしまいます。

だからボロが出ないようにするには、なるべく短い文を書きましょう。

今回の例文は、いいたいことを一文にすべて収めようとしたために「あいまい」になってしまった典型です。

一文で書けるとおもっても、まずは短い文に分けてみましょう。

格好をつけたつもりでもボロが出てダサくなる。それよりも、短い文でわかりやすくする。すると、なんということでしょう! 格好よくなるのです。

格好いいかどうかは主観ですから別にしても、すくなくともあいまさは回避できます。わかりやすくなります。文のテンポを整えやすくなります。すると、スマートな文になるのです。


2009年11月29日

頼りない上司はこんな人


<例文>

上官「時間があまりないがザクの整備にかかれ。できたらグフのメインカメラの調整もだ」


<解説>

これは、モビルスーツ(ロボット)の整備士に話した内容ですね。
(ザクやグフはモビルスーツの種類をあらわす名称です)

整備士はザクの整備とグフのメインカメラの調整のどちらを優先するでしょうか。

ある整備士はザクの整備を優先し、時間がゆるせばグフのメインカメラの調整もするでしょう。

またある整備士はザクの整備をした後にグフのメインカメラの調整をするでしょう。

では上官が意図した命令はどんなものでしょうか。

ここで注意すべきは「時間があまりないが」です。

「時間があまりない」からどうしろといっているのでしょうか。

もちろん、時間があまりないから急げ、といっていますね。

ところが「時間があまりないが」を命令文の冒頭にもってきたために、内容が正確に伝わらないおそれが生じてしまっています。

「時間があまりないが」は「急げ」を意味することを踏まえて例文を読み返してみれば、上官の命令の内容は以下のように推測できます。



<例文2>

上官「ザクの整備が終わったらグフのメインカメラの調整もしておけ。急げよ」


つまり上官はザクの整備とグフのメインカメラの調整のふたつを急いでやれ、と命令しているのです。

ところが冒頭に「時間があまりないが」をもってきたために以下のように推測もできてしまいます。



<例文3>

上官「時間があまりないがザクの整備にかかれ。もし可能ならグフのメインカメラの調整もだ」


つまり、ザクの整備を命じて、もしも時間がゆるせば、可能ならばグフのメインカメラの調整もしろ、と受け止められるおそれがあるのです。

この場合、整備士はグフのメインカメラを調整に手をつけないかもしれません。たとえそうなっても命令に違反したことにはならいと考えるでしょう。


命令文は明確でなければなりません。命令の内容をあいまいにしている原因は冒頭の「時間があまりないが」「できたら」のふたつです。

「時間があまりない」は理由であって命令ではありません。命令には「急げ」でOKです。

「できたら」は「〜が終わったら、完了したら」の意味と、「もしも可能なら」のふたつの意味があります。

ひとつは物事の順序を示し、もうひとつは条件を表します。こうした複数の意味を持つことばは、使い方に注意が必要です。

上官や上司といった役職に向かない人の典型は、このように命令ができないことにあります。

余計な飾りがなくてもよい命令文でもあいまいになってしまうのは、わかりやすくする意識と訓練がまだまだ足りないからでしょう。

軍人でもないから命令文なんて関係ないと思うかもしれませんが、だれかに何かを指示することがあれば、少なからず命令しているのです。

命令するには技術が要ります。

命令文をしっかり書けるかどうか、にもっと気を配りましょう。

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