2010年01月09日

魔法はダメよ

<例文>

「卒業までは、みんな月面宙返りができるようになる」



<解説>

例文のいいたいことは何でしょうか。

おそらく、卒業する頃にはみんな月面宙返りができるようになる、といいたいのでしょう。

ところが例文は「卒業までの期間、つまり入学から卒業までの期間限定でみんな月面宙返りができるようになる」とも解釈できます。

書き手のいいたい事と文の形がズレているために、なんだかおかしくなっているのです。

例文を簡潔にすると「卒業までの期間限定で●●ができるようになる」となります。

多くの場合、人は一度習得した技術をその後もずっと持ちつづけることができます。

もしも「期間限定で●●ができる」なら「条件をクリアすれば可能」や「許可」を連想できるのでOKです。

しかし「期間限定で●●ができるようになる」という文は、魔法で一時的に「あること」が可能になるという特殊なケースを連想させるのでNGです。

図で示してみましょう。


(図1)
――――――――――B―――――→

Bまでの期間は可能。



(図2)
――――――――――B―――――→

Bまでの期間が経過すれば可能。



例文がいいたいことが図2ならば、次のように表記するとよいでしょう。



<リライト例>

「卒業までには、みんな月面宙返りができるようになる」


「に」を一文字入れただけ明確になりましたね。

そもそも、いいたいことはわかるんだけどなんだかしっくりこない文が巷にあふれています。

そんな文ばかりだといってもいいでしょう。

なんだかしっくりこない文をひとつみつけたら、ほかにも10ぐらいは同じような文があると思っていいでしょう。

たったひとつの「なんだかしっくりこない文」であっても、読み手に負担をかけます。

たとえ小さな負担でも、数が増えればボディブローのように読み手にダメージを蓄積させます。

だからこそ、なんだかしっくりこない文をスマートにできたらどうですか?

それも、たった一文字で。

もしもそんなことができたら、その文章は洗練されます。

洗練されたスマートな文章は、たった一文字からできるのです。



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