2010年01月04日

ギャップによるドラマで気持ちをシフトさせる


魅せる「タイトル力を」つける!
ギャップによるドラマで気持ちをシフトさせる
〜クリックせずにはいられない魅惑のタイトル作成術〜


以下のコラムを読んで、そのタイトルを考えてみましょう。

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宮崎駿監督作品「崖の上のポニョ」の主題歌を歌ったのは「藤岡藤巻と大橋のぞみ」。

「藤岡藤巻」というのは藤岡孝章と藤巻直哉のふたりから成るユニットである。

ふたりが70年代にメンバーとして活躍していた「まりちゃんズ」は、発表する曲の多くが放送禁止になるという、知る人ぞ知るバンドであった。

そういうわけでまったくの素人オジサンが「崖の上のポニョ」の主題歌を9歳の女の子(大橋のぞみ)と一緒に歌っているわけではないのだが、一般からみれば「なんでオジサンが?」と思うだろう。

当初は大橋のぞみがひとりで歌う予定だったが、宮崎駿監督が父と娘がお風呂に入りながら歌っている雰囲気はどうかと提案してオジサンが追加されたという。

「ポニョ」を観たがる娘・息子と妻を車で映画館に連れていくのはオトン。

ジャニーズアイドルのコンサートへ妻と娘を車で送り、終了まで外で時間をつぶして待っているオトン。

母と娘が温泉旅行を楽しむのに、家でペットの世話をまかされる留守番役のオトン。

そんなオトンもお風呂のときだけはバスタブに浸かって笑顔で娘と歌を歌う。

以前、10代の若者をターゲットにしたテレビのバラエティ番組で、中高生の女の子がひさしぶりにオトンとお風呂に入っておしゃべりして親子の絆を深めようといった企画があった。

中高生ぐらいの娘とお風呂に入るオトンは気恥ずかしさを感ているようだったが、娘が小学生のころまでは一緒にお風呂に入ってアニメソングのひとつも一緒に歌ったことは一度や二度ではないだろう。

オトンの唯一といっていい至福の時間をイメージした「藤岡藤巻と大橋のぞみ」が歌う「崖の上のポニョ」の主題歌は、自身がオトンでもある宮崎駿が「これは親子で楽しめる映画ですよ」と全国のオトンたちに向けて放った心憎いまでのメッセージなのだ。

映画ならば車で娘・息子と妻を送っていったとしても、家族みんなで映画館に入ることができる。アイドルコンサートでも温泉旅行でも「はぐれオヤジ状態」を味わったオトンも、映画なら娘・息子と歌を歌いながら共に楽しむことができるのだ。

スタジオジブリ作品のヒットの秘密のひとつは、オトンが「はぐれオヤジ」にならずに家族みんなで楽しめる作品を作りつづけてきたことにあるのだ。
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さて、このコラムにどのようなタイトルをつければ、より多くの人々に関心を持ってもらえるでしょうか。

まずはコラムを読んでストレートに作ったタイトル例を示します。


<タイトル例1>

「大橋のぞみとポニョを歌ったおじさん」


<解説>

タイトル例1では「大橋のぞみ」と「ポニョを歌ったおじさん」という分け方ができます。

すると「崖の上のポニョ」の主題歌を歌ったのはおじさんだけだと思われてしまうかもしれません。

実際には大橋のぞみも「崖の上のポニョ」の主題歌を歌っています。正確にはおじさんと一緒に歌っているのです。

タイトル例1は、わかりにくいタイトルであり、大橋のぞみとおじさんが一緒に「崖の上のポニョ」の主題歌を歌ったのは有名ですから、すでに読者には織り込み済の情報しか伝えていません。

では、このあたりでコラムのタイトル例をもうひとつ示します。


<タイトル例2>

「宮崎駿は『はぐれオヤジ撲滅派!?』」


<解説>

スクープ! あの有名人は実は○○だった!

週刊誌の見出しのようですが、こういったネタには多かれ少なかれ誰しも興味があります。

有名人というのはその名のとおり有名な人ですから、たいていの人は知っています。

自分が知っている人の裏または真とされるような話となれば、興味がわくのは当然です。

そこで、有名なアノ人は実は○○な人、というよくある形を使ったのがタイトル例2です。

宮崎駿は実はアニメ好き。これでは「実は」でも何でもありません。おそらくアニメが好きだからアニメーション作家なのでしょうから。

宮崎駿は実はチーズ好き。これでは「ふ〜ん」で終わってしまいます。「実は」を使ったわりには意外性が乏しく、おもしろくありませんね。
(注:実際に彼がチーズが好きかどうかはわかりません)。

だからこういった形を使うときは意外性があるキーワードを用いる必要があります。

「はぐれオヤジ」には一匹狼といったアウトローの雰囲気を持ったヒーローの一面が感じられる一方で、群れからはぐれてしまったさびしい男の哀愁も感じられます。

そんな「はぐれオヤジ」を「撲滅」する(?)というのですから、どちらかというと負のイメージが強調された「オヤジ」を救うヒーローをイメージさせもします。

哀愁を漂わせる男。一匹狼。ヒーロー。

そんな、もの悲しさのなかにも憧れを滲ませた「はぐれオヤジ」を撲滅(完全に滅ぼす)しようというのですから、ものスゴい目標を持った偉業について書かれているにちがいないと興味を抱かさせのがタイトル例2です。

「撲滅」は一見すると容赦ないこわいイメージを抱かせますが、コラムを読めば、スタジオジブリの作品はオトンが「はぐれオヤジ」にならずに家族みんなで楽しめるよ、という内容だとわかるはずですから、結果的にあたたかみのある幸せな気分にさせることができます。

「こわい」→「あたたかい・安心」へとシフトするための劇的な仕掛けがタイトルに施されています。

恋愛でもギャップが重要ですよね。

おもわぬ一面を知ることで相手を知り、そのギャップに心を奪われる。

もちろんマイナスな印象を受けるギャップもあります。でも、そもそもギャップ無きところに感情は生じにくいですから、いつの間にか気持ちがシフトできる心地よい体験を提供するのです。

ギャップによるドラマで気持ちをシフトさせる。

これは映画でも小説でもコラムでもタイトル作りにも共通するテーマであり、有効なテクニックでもあるのです。


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