2010年01月02日

「わかりやすいが勝ち」M-1優勝の秘訣


M-1グランプリ2009でパンクブーブー(よしもとクリエイティブ・エージェンシー) が優勝しました。


最終決戦では審査員全員の票を得て優勝。


勝因はやはり、2本の漫才の「質の高さ」と「わかりやすさ」でしょう。


優勝候補筆頭の「笑い飯」の1本目のネタ(鳥人:とりじん)はイマジネーションで笑いを誘う高度なもので、漫才が早くなりがちな彼らの癖を抑えた程よいテンポを維持したことで観客も安心して爆笑することができました。


ところが2本目のネタは野球でのキャッチャーと審判のネタ。この瞬間、やっちまったな、と思わずにはいられませんでした。


温泉宿の宴会場で社員旅行のオジサンたちを前に漫才するなら大爆笑でしょうけれど、M-1グランプリの会場のお客さんたちの多くは若い女性たちです。


野球ときいただけで、ちょっと「距離」ができてしまう。その距離を埋めるのに十分なおもしろさがあれば逆に大きな笑いになるのですが、なんと終盤には下ネタに。さらに彼らのいつもの早くなりがちな癖も出てしまった。


お客さんと距離がある野球ネタ。さらに下ネタでその距離が広がってしまった。また早口のために何を言っているのかわからなくなってお客さんがついていけなくなる弱点も出てしまい、漫才が終わりに近づくにつれてどんどんしぼんでいく結果に。


漫才は終わりにむかってどんどん盛り上がっていくのが良いとされるのが常識ですから、笑い飯は文字どおり1本目のネタ「鳥人(とりじん)」で燃え尽きてしまったのです。


一方、パンクブーブーの1本目のネタは「騒音に関する隣人とのやりとり」。2本目は「弟子入り」です。


どちらもわかりやすくて親しみやすい「あるあるネタ」の典型です。つまり、観客を選ばずに、観客との距離を縮める鉄板ネタを用意していたのです。


お笑い芸人は漫才であれコントであれ、常識からズレた事柄や場面を観客のイマジネーションの助けを借りてその場に「笑いの空間」を作り出し、そのズレを修正してみせることで観客の脳内にできた「ゆるみ」や「間」を笑いに変換する「芸」をもっています。


ですから観客がイマジネーションを働かせやすいネタを用意するのは理にかなっています。


「騒音に関する隣人とのやりとり」と「弟子入り」。どちらも「笑いの空間」を作り出す近道といっていいでしょう。


パンクブーブーは一般にはほとんど知られていなかった芸人コンビです。


なんの色もついていないどころか、その存在さえ一般にはほとんど知れていないと自覚する彼らが観客との距離を縮めるのに、突拍子もないネタを選ぶはずがありません。


たしかに笑い飯の「鳥人」のネタはスゴかった。その突拍子もないネタを活かせたのは笑い飯の漫才師としての技量と経験と知名度があってこそ。すべてが見事に相乗効果をもたらしたのが「鳥人」のネタだったのです。でも、だれもがすんなり受け入れやすいネタではなかったのです。


パンクブーブーのネタは2本とも、その漫才の「質の高さ」と「わかりやすさ」がとび抜けていた。


だから彼らは優勝したのですネ。


M-1記事の詳細はコチラ
▼M-1優勝に「いらないもの」とは
〜なぜM-1グランプリは年末に開催されるのか〜
〜パンクブーブーと笑い飯でわかる、M-1グランプリ攻略法〜



posted by タカ at 17:06 | TrackBack(0) | 明快に伝える日本語力の磨き方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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