2009年11月29日

頼りない上司はこんな人


<例文>

上官「時間があまりないがザクの整備にかかれ。できたらグフのメインカメラの調整もだ」


<解説>

これは、モビルスーツ(ロボット)の整備士に話した内容ですね。
(ザクやグフはモビルスーツの種類をあらわす名称です)

整備士はザクの整備とグフのメインカメラの調整のどちらを優先するでしょうか。

ある整備士はザクの整備を優先し、時間がゆるせばグフのメインカメラの調整もするでしょう。

またある整備士はザクの整備をした後にグフのメインカメラの調整をするでしょう。

では上官が意図した命令はどんなものでしょうか。

ここで注意すべきは「時間があまりないが」です。

「時間があまりない」からどうしろといっているのでしょうか。

もちろん、時間があまりないから急げ、といっていますね。

ところが「時間があまりないが」を命令文の冒頭にもってきたために、内容が正確に伝わらないおそれが生じてしまっています。

「時間があまりないが」は「急げ」を意味することを踏まえて例文を読み返してみれば、上官の命令の内容は以下のように推測できます。



<例文2>

上官「ザクの整備が終わったらグフのメインカメラの調整もしておけ。急げよ」


つまり上官はザクの整備とグフのメインカメラの調整のふたつを急いでやれ、と命令しているのです。

ところが冒頭に「時間があまりないが」をもってきたために以下のように推測もできてしまいます。



<例文3>

上官「時間があまりないがザクの整備にかかれ。もし可能ならグフのメインカメラの調整もだ」


つまり、ザクの整備を命じて、もしも時間がゆるせば、可能ならばグフのメインカメラの調整もしろ、と受け止められるおそれがあるのです。

この場合、整備士はグフのメインカメラを調整に手をつけないかもしれません。たとえそうなっても命令に違反したことにはならいと考えるでしょう。


命令文は明確でなければなりません。命令の内容をあいまいにしている原因は冒頭の「時間があまりないが」「できたら」のふたつです。

「時間があまりない」は理由であって命令ではありません。命令には「急げ」でOKです。

「できたら」は「〜が終わったら、完了したら」の意味と、「もしも可能なら」のふたつの意味があります。

ひとつは物事の順序を示し、もうひとつは条件を表します。こうした複数の意味を持つことばは、使い方に注意が必要です。

上官や上司といった役職に向かない人の典型は、このように命令ができないことにあります。

余計な飾りがなくてもよい命令文でもあいまいになってしまうのは、わかりやすくする意識と訓練がまだまだ足りないからでしょう。

軍人でもないから命令文なんて関係ないと思うかもしれませんが、だれかに何かを指示することがあれば、少なからず命令しているのです。

命令するには技術が要ります。

命令文をしっかり書けるかどうか、にもっと気を配りましょう。


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