2009年07月19日

それがなければちっともノレない

「コンセプト(concept)」について考えてみましょう。


コンセプト(concept)には、概念や物事の総括的・概括的な意味があります。


ある事柄に関する共通事項をひっくるめてまとめ、抽象・普遍化し、分類する。


こうして整理・要約された見解やイメージは、あらゆる物事を理解する大きな助けとなります。


こうしたコンセプト(concept)は、それを提唱する人の視点や立場や心のありようを反映します。


なんだか小難しいことを説明しているようですが、簡単にいうと「それがなければちっともノレない」ものを「コンセプト(concept)」といいます。


あなたが最後まですべての回を観たことがある連続テレビドラマを思い出してみてだくさい。


その連続ドラマを、最終回まですべて観たのはなぜですか?


ひとことでその理由をいうなら「おもしろかったから」ではないでしょうか。


物事がおもしろいとき、人はそれに夢中になっています。たのしくてしょうがない状態です。


言い換えると「ノリノリ」の状態です。


「ノリノリ」だからこそ、約10回ほどある放送回のすべてを最後まですべて観ることができたのです。


では、ドラマで「ノリノリ」になれる条件はなんでしょうか。


それは登場キャラクターがあたかも実在するかのように感じることができるかどうかです。


もちろんドラマの登場キャラクターが実在しないことを視聴者はわかっています。


とはいえ、あのキャラクターならこんなときはきっとこういったリアクションをするだろう、というイメージが自然と浮かぶようでなければ、とても最終回までドラマを観続けることはできません。


仮に「ドラえもん」の「のび太」が学校の運動会の徒競走に出るとしたら、あなたは彼が何着になるか想像できますか?


おそらく簡単に想像できますよね。


のび太が1着! ということはまず想像できません。


たぶん、ビリかな。


でも、それが大事なのです。


のび太は徒競走でビリになることが視聴者のだれもが想像できるからこそ、後にドラえもんの道具で1着になっても、それに納得できるのです。


のび太に関するしっかりとしたイメージを抱けるからこそ、他のキャラクターもイキイキする。それによって「ドラえもん」の世界観が確立する。


確立した世界観の中で起こる出来事に対して、各キャラクターが視聴者のイメージどおりのリアクションをとる。


ここまでが物語世界の前提として必要なのです。


イメージどおりのリアクションをとるからこそ、安心してそこから先の物語展開に集中して、ワクワクドキドキできるのです。


ワクワクドキドキがそのまま続けば、楽しく「ノリノリ」で物語世界に浸り続けていくことができるのです。


わかりやすい日本語や文章もこれと似ています。


ひとつの文章には世界観が必要です。


「文章に世界観」というのは聞き慣れないかもしれませんね。


でも、まずは「文章の種類」を考えてみることからはじめれば馴染みがあるでしょう。


文章の種類によって「ある調」や「ですます調」を使い分けたり、文の硬さを調節したりすることはあなたも日常的に行っているはずです。


しかし、それだけでは十分とはいえません。


文章の種類に気を配るほかに、文章の目的を強く意識する必要があります。


文章の目的を強く意識すると「それがなければちっともノレない」の「それ」が何なのかがわかります。


「それ」とは「目的を達成するための世界観」です。


世界観を構築するためには、各キャラクターがしっかり確立していなければなりません。


のび太は「のび太」でなければなりません。


ジャイアンは「ジャイアン」でなければなりません。


スネ夫は「スネ夫」でなければなりません。


文章の目的を強く意識すると、目的に関係のない、または目的達成の障害となる事柄が入り込む余地がなくなります。


のび太が徒競走で1着になることはありえません(のび太くんに失礼かな 笑)。


ドラえもんの道具が登場する前にのび太が徒競走で1着になっては、その後の物語に展開のしようがなくなってしまいます。


のび太が徒競走でビリになると確信を持ってイメージできるのは、あなたの頭のなかに「ドラえもん」の世界観がしっかりと根をはっているからです。


世界観を崩すような事柄は、どの回のドラえもんを観たって存在しないはずです。


だからこそ、いつもダメな人間に描かれているのび太が、物語を通して成長し、たまにたくましい一面を見せると観客は心を動かされるのです。これを「感動の波を起こさせる」といいます。


ですから、あなたがこれから書こうとする文書の目的をしっかり意識さえすれば、目的と関係のないことや目的達成を阻むような事柄は書きようがないのです。


無駄なものや余計なものがないので、文はスマートになります。


洗練された、わかりやすい文になるのです。


ここで冒頭の「コンセプト」が活きてきます。


ドラマや漫画や文章に限らず、生き方もそうですが「コンセプト」をしかっかりもって意識するのとしないのとでは、大きな違いが生じます。


コンセプトをしっかり持てば、おのずと物事の目的を強く意識するようになります。


目的を強く意識すれば、目的を達成するための世界観のイメージが浮かんできます。


イメージが浮かべば、世界観に関係のない、余分な要素は排除することができます。


ほら、ドラマや漫画やアニメや映画を観たとき、このキャラクターはこんなときこうする! とイメージできたなら、きっとその作品はけっこうおもしろかったんじゃないでしょうか。


おもしろいはずです。なぜなら、その物語の世界観を台無しにするような要素が入り込む余地がないために、登場キャラクターも、そこで起きる出来事も、それらすべてがコンセプトから逸脱していないからです。


物語をつくる人はよくこんなふうにいいます。


「登場キャラクターさえしっかり作りこめば、物語は勝手に出来てしまうのだ」


つまり、コンセプトさえしっかりしてあれば、物語も文章も「軌道にのる」のです。


軌道にのせるまでが大変ですが、それがしっかりできるかはコンセプトづくりにかかっているのです。


ですからコンセプトをしっかり煮詰めることが大事なのです。


参考までに、私が携帯公式サイトで連載したコンテンツをご紹介しましょう。


物語の設計図とメインの男女2名のキャラクターの構築をシノプシスという文書にまとめて、コンセプトをしっかり煮詰めてから連載をはじめました。


キャラクターがすでにしっかり確立させたおかげで、ほぼ文字どおり物語は勝手に動き出していきました。


コンセプトをしっかり持つことは、文章のみならずあらゆる分野の基本となり、大きな力となります。


▼携帯公式サイトで連載したコンテンツの一部を編集したものはコチラ




posted by タカ at 14:01 | TrackBack(0) | 明快に伝える日本語力の磨き方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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