2012年01月14日

トム・クルーズと『ニモ』でわかる、ゼッタイに落としてはいけない大事なワード〜いまさら隠すのもおかしな話〜


【魅せる「タイトル力」をつける! タイトル作成講座】
〜エンタメでみるみるわかる・できる!魅力的なタイトル作成法〜



ネットでタイトルを作成する際のテクニックを、ニュースのタイトル作成の例でご紹介しましょう。
(ビジネスでもプライベートでもその大部分で使えます)

ビジネスのヒントを探している人は、商品やサービスやブランディングなどに置き換えて読んでみてくださいね。

(見出しとタイトルは違います。タイトルをつくる方法をご紹介します)



■ ゼッタイに落としてはいけない大事なワード
  〜いまさら隠すのもおかしな話〜



タイトル作成では「核」となる部分を見極める


これは耳にタコができるぐらいお話してきましたね。そうはいっても、もしもどこが外せない大事なポイントなのかがいまいち判断しにくいならば、こう考えみましょう。


その記事内容の中からもっとも多くの人々の心に響きやすいものは何だろうか? と考えてみるのです。


わかりやすいタイトル例を用いて話を続けましょう。



● タイトル例1

【横転した車内で飼い主ら温めた…忠犬を表彰】


魅力的なタイトルを作る基本のひとつに「説明はなるべく避ける」があります。ところがタイトル例1は説明ばかりのタイトルとなっていますね。


なぜ説明しないほうがいいのか。なぜなら説明はタイトル作成者の解説になりがちだからです。


説明をしたほうが伝わりやすい場合は添える程度に簡潔にさりげなくするのはOKですが、そもそも読者の多くは名も知らぬタイトル作成者の解説など望んではいません。


仮に家電製品を買ったとしましょう。箱から出してスグに使ってみたいのに、その前に超ブ厚い取扱説明書をはじめからおわりまで読まなければならないとしたら、あなたはきっとゲンナリするでしょう。


タイトル例1は、このブ厚い取扱説明書のようなものです。


とはいってもどんな犬なのかを伝えるのに、ある程度説明はしなければなりません。だからこそ、なるべく要点をつかんだ説明にすべきなのです。


それでもどんな犬か説明するのに14文字(「横転した車内で飼い主ら温めた」)使うのは、ちょっと長過ぎです。またいかにも説明といったかんじで野暮ったいですね。もう少しスマートにできないか考えてみましょう。


また「忠犬」も説明ワードです。しかも勝手に忠実だと判断していますね(さらにその判断を読者に押し付けている)。


どんな犬なのかを14文字も使って説明しているだけでなく、さらにダメ押しのように「忠犬」と表記することで、どんな犬なのかをこれまた説明してしまっています。


何をした犬なのかが読者に伝わったとして、それが忠実であったと感じてそう判断するのは、あくまで読者です。タイトル作成者の判断を読者に押しつけてはいけません。


AはBというようにみなしなさい。AはBであると判断しなさい。……そんなふうに言われたら、それが尊敬する師匠や教師ならそのとおりにするでしょうけれど、見ず知らずの人にいきなりそんなことを言われても「なに言ってんの?」と相手にもしないでしょう。


お勧めの商品やサービスを紹介しようという場合(広告)などを除き、特にニュースでは自身(タイトル作成者)の都合のいいように読者の感情を無理矢理コントロールするかのような振る舞いは避けるべきです。


こういった、勝手に判断してそれを押し付けるわかりやすいタイトル例は以下のようなものです。


【親ばかトム・クルーズ 娘のためにスケート場貸し切り】


記事を読むかぎり、そこに「親ばか」とは書いていません。ということはタイトル作成者が勝手にそう思い判断したのか、またはおもしろがってそう付け加えたのでしょう。


記事内容にもあるとおり、以前にトムと娘は一般人と同じリンクで滑っているところをパパラッチに撮影されたので、今回はゆっくり滑れるようリンクの一部を貸し切ったということかもしれません。


彼は超有名人ですから、自分たち家族のためだけというよりも、周囲の一般客のためにも自分たちが貸し切りにしたほうがいいと今回は判断したのかもしれません。


とにもかくにも、そのトムの行為を知ってどう感じるかは読者次第です。タイトル作成者が勝手に判断してそれを読者に押し付けるものではありません。


ということで、リライトするならこんな感じではどうでしょうか。


【娘スリちゃんのため トムがスケート場貸し切り】
 

欧米人など日本人以外の人物が話題の場合、タイトルにカタカナが増えます。またこの例では「スケート」が欠かせないワードですから「トム・クルーズ」ではなく「トム」にして、それが誰であるか補強するために「娘スリちゃん」を用います。


「トム」と「スリちゃん」のふたつで、それがトム・クルーズだとはっり伝えつつ、娘のための行為ですからスマートにその事実を伝えます。


トムが娘のためにしたこと。その事実をストレートに伝える。それを知った読者がどう感じ何を思うかを露骨にコントロールしようとしてはマズいのです。読者はそういう狙いや、おもしろくしてやろうというようなあからさまな意図には敏感です。


さて話題を犬に戻しましょう。


タイトル例1【横転した車内で飼い主ら温めた…忠犬を表彰】の「…」はなんでしょうか?「温めた」その結果が「…」で隠さなければならないことでしょうか?


そうではありませんね。この話題の場合はむしろその結果も合わせて伝えることはサービスになります。なぜなら、その結果があったからこそ表彰されたのですから、その理由を伏せておくことはありません。


まして14文字も使って「横転した車内で飼い主ら温めた」と説明しているのですから、いまさらその結果を隠すのもおかしな話です。


そもそも「表彰」されたのだから良い話だというのはすぐにわかります。飼い主らを温めたのは良いことであり、その結果も当然のように良いことだと想像できます。その良いことが読者の想像を超える、または裏切るような特殊なことなら隠す・伏せるのもアリです。


でもこの話題の場合は、読者が想像したとおりのものです。ならば、わざわざその結果を隠すのは、おもわせぶりすぎるのです。


他にも、タイトルの冒頭に配慮しましょう。「横転した車内」とありますから、それが自動車であれ電車であれ一大事であることは確かですが、この話題の重要なポイントは犬がどうやって人間を救ったかにありますから、その方法とそのときの状況がより伝わりやすいワードを冒頭に用いましょう。


以上をふまえてリライトします。



●タイトル例2(リライト例)

【氷点下で3歳児救った犬を表彰


どんな犬なのか伝えるのに「氷点下で3歳児救った」で10文字。これ以上ないほどにズバリ大事なポイントを伝えていますね。


タイトルの冒頭は「氷点下」です。危機的環境であることがすぐにわかります。


そして人を救ったから表彰された、という理由もバッチリわかります。さらに氷点下でどうやって救ったのかという部分は、まだこの話題を知らない人にとっては謎のままにしてあります。


過酷な状況(氷点下)で人間を救ったという明るいニュースだとまずは伝えることで、その経緯はひとまずベールに包んでおく。なぜなら、今回の伝えるべき事柄は、救った犬が表彰されたことだからです。


そしていよいよ「核」となる部分を見極める話をしましょう。


この犬は人の命を救ったのだけど、そのうちのひとりは3歳児です。


ほかにも助かった人はいるけれども、多くの人々の注目が集まりやすいのは、なんといっても子どもです。氷点下で3歳児が助かった! しかも犬が救ったというのです。


ドラマでもバラエティ番組でも、子どもと動物は「オタスケマン」です。早い話が視聴率の数字を持っています。情報番組ならほかにラーメンも持っていますね。


それはさておき、助かったという明るいニュースに動物(しかも身近に思える犬)と子どもが関係しているなら、どちらもきちんと伝えなければなりません。


これについて他のニュースのタイトル例もみてみましょう。


【スマトラ沖地震で生き別れ…7年ぶり家族と再会】


生き別れて7年ぶりに家族と再会できたのが誰であっても、とても喜ばしいことですよね。では、もしもそれが少女だったら?


記事内容によると7年ぶりの家族と再会したのが少女であるのは間違いいありません。しかもこのニュースでは主役はその少女ひとりですからどんな人物であるかの情報はあったほうがいい。


タイトルに使うのに適した情報とは、このニュースの場合は「少女」です。


日本語は主語を明示しなくても文が成立しますが、タイトル作成においては「誰が何をした・どうなった」の「誰が」の部分はなるべく明示すべきです。


まして複数あるうちからではなく、たったひとりであるならなおさらにそれがどんな人物であるかをしっかり明示しましょう。少女であるなら絶対に取りこぼしてはなりません。


また、記事内容によるとスマトラ沖地震による津波によって生き別れになったそうですから「地震」ではなく「津波」の表記を選びましょう。地震があって津波が起きたことは読者が想像できるからです。


それからここでも「…」(三点リーダー)が使われていますね。これを使うとラクです。でも「…」として明記しない部分によほどの意味や雰囲気を込めてあたかも目の前に広がる光景のように読者に想像してもらったり余韻を残したりするのは至難の技です。


タイトルのリズムを整える場合に用いることもある三点リーダーですが、使うならこれ以上ないといえるほどズバリな場面でなければなりません。


このニュースでは、わざわざ三点リーダーを使って主語を省略することに意味はありませんし、むしろ省略すべきではありません。


ということで、リライトするならこんな感じではどうでしょうか。


【スマトラ島津波で生き別れの少女 7年ぶり家族と再会】


絶対に落としてはいけない「核」となる部分を見極める、とはこういうことです。


では、犬に関する話題について、もう一度ふたつのタイトル例を見比べてみましょう。


<タイトル例1>
【横転した車内で飼い主ら温めた…忠犬を表彰】

<タイトル例2(リライト例)>
【氷点下で3歳児救った犬を表彰】


タイトル例1は説明ワードが冗長で、かつ「忠犬」とすることで、どんな犬であるかの感想や判断を読者よりも先に行ってそれを押し付けてしまっています。また、肝心の表彰の理由(人間・子どもを救った)が抜け落ちています。


さらにタイトルだけですべてを伝えきろうとするあまり説明ワードが頭でかっちになり「飼い主」と「忠犬」のふたつによってワードの意味がちょっとカブり気味な重複感もかもし出しています。


ほかにも、タイトルだけで完結を目指しているのでクリックした先で読者に詳細を知ってもらうチャンスを奪ってしまってもいます。


タイトル例2は「氷点下」で過酷な状況を、そして3歳児が助かった事実を伝えると同時に、その結果として人間を救った犬が表彰されたことをスマートに伝えています。


どうして氷点下で危険な目にあうことになったのかは、クリックした先で知ればいいようになっているので、記事内容への花道もしっかり用意されていますね。見た目もスッキリしています。


さて、聖書に「いなくなった羊」という話があります。(新約聖書 ルカによる福音書15章)


あるところに羊飼いがいました。100 匹の羊を飼っていたが、そのうちの1 匹がいなくなってしまいました。


羊飼いは、けわしい岩のひとつひとつを探してみたり、暗い藪の中をランプで照らしてみたりして、いなくなった羊を探します。


やっとみつけた羊を肩にのせて、うれしくて心も軽く家に帰ると、残っていた羊と村人とで祝宴を開いて、みつかった羊のことを一緒に喜んでもらいました。というお話です。


ちなみにこの物語をベースにしたであろうと思われるのがピクサーのアニメーション映画『ファインディング・ニモ』です。


1匹だけいなくなった羊をニモに置き換えてみれば、羊飼いは親のマーリンです。羊飼い(マーリン)は1匹の羊(ニモ)を探してけわしい旅に出るのです。


たとえ1匹でも、親にとってはかけがえのない子どもです。『ファインディング・ニモ』では、いなくなった1匹の羊を、いなくなった一匹の子どもの魚に置き換えたのかもしれません。


タイトル作成においても、たった1匹であってても、1匹であるからこそ大事にそれをしっかり読者に伝えなければなりません。


タイトルのその先には読者がいます。ならば人間の気持ちを想像してみるのです。


幸いなことに、タイトルを作るアナタもきっと人間です。自分の子どもをはじめ大事な家族や友人たちを忘れないのと同じあたたかい気持ちと心をもってタイトルを作るのです。


そうすれば大事なポイントを取りこぼすようなことはありません。


ひととでいえば「愛あってこそ」です。(←言うよねぇ〜☆)


★勝手な判断を読者に押し付けない

★いつも心に愛を


▼映画『ファインディング・ニモ』作品レビュー 
CGアニメーションだからこそ表現できる世界で繰り広げられる、親子愛と冒険の物語。聖書の「ヨナの物語」と「いなくなった羊の物語」が根底にある。



-----------------------
※本サイトでは「わかりやすく伝える」「日本語」「魅力的なタイトル作成法」について本記事のほんの一部しかUPしていません。旬な内容を読みたいお方は、メルマガにてどうぞ。

メールマガジン
▼「わかりやすい日本語で(Plain Japanese)」
明快な文章の書き方。みるみるわかりやすい文になるリライト術を公開。人目を惹くタイトル作成法から、わかりやすい案内文、説明文、広告文、お知らせ文の書き方まで。
86日でフォロワー1万超 できる1万突破!「ツイッターでつぶやく技術〜140字で魅せる方法〜」連載中。


<おすすめの書籍>

日本語の作文技術 (朝日文庫)日本語の作文技術 (朝日文庫)
本多 勝一

朝日新聞社出版局 1982-01
売り上げランキング : 692

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


全米NO.1のセールス・ライターが教える 10倍売る人の文章術全米NO.1のセールス・ライターが教える 10倍売る人の文章術
ジョセフ・シュガーマン 金森 重樹

PHP研究所 2006-03-16
売り上げランキング : 4891

Amazonで詳しく見る
by G-Tools




2012年01月07日

出木杉くんではダメ。のび太になれ!


【魅せる「タイトル力」をつける! タイトル作成講座】
〜エンタメでみるみるわかる・できる!魅力的なタイトル作成法〜




ネットでタイトルを作成する際のテクニックを、ニュースのタイトル作成の例でご紹介しましょう。(ビジネスでもプライベートでもその大部分で使えます)

ビジネスのヒントを探している人は、商品やサービスやブランディングなどに置き換えて読んでみてくださいね。

(見出しとタイトルは違います。タイトルをつくる方法をご紹介します)
(とりあげるタイトル例の表記の内容はあくまで例のため、時期その他の事情により実際とは異なる場合があります)



■ 出木杉くんではダメ。のび太になれ! 
  不安定にすべし〜射程は広く遠く〜



同じような内容なのに、なぜ一方はスルーされ、もう一方は話題になるのか。


その違いは、魅力のひき出し方にあります。


そのもの自体の魅力だけでは不十分。その魅力をひき出してより多くの人に伝える技術がなくてはならないのです。


ニュースのタイトル例を示して話を続けましょう。


今回はじめに取り上げる元になる記事はコチラです。



● タイトル例1

【紗栄子宅のお泊り会に有名人ファミリーが参加】


タイトル作成においてまず考えるべきは「どのくらいの射程範囲・距離を取れるか」です。


タイトル例1の場合、紗栄子さんを知っていて、なおかつ彼女に興味がある人が主な射程範囲となっています。


つまり、射程範囲・距離がとても狭く短いんですね。もう少し広げることができないか考えてみるのです。


それから、タイトルは魅力的でなければなりません。平たく言えば、タイトルのその先を知りたい欲求を起こさせるものでなくてはなりません。


残念ながら「お泊り会に有名人ファミリーが参加」では、よほど紗栄子さんに興味を持っている読者でもないかぎり、彼女の交友関係について知りたいと思う人は限られてしまいます。これでは普通すぎるのです。


もっと範囲を広げ、射程距離を伸ばすのです。これをふまえてリライト例を示します。



●タイトル例2(リライト例)

【紗栄子の家に“お泊り”した芸人】


「“お泊り”」と強調することで、それが特別なことであるかのような雰囲気を出していますね。そして泊まったのが芸人だというのです。


紗栄子さんのことをそこそこ知っている読者は、記事が書かれた時点では彼女が離婚協議中であることを思い出すかもしれません。


ということは、まだ離婚していない女性の家に芸人が泊まったというのですから、なにやら只事ではない、かもしれない。


でも「芸人」とありますから、もしかしたら女芸人かもしれません。


記事内容によると、女芸人ではありませんから「芸人」というワードを「サービスとしてのあいまいさ」として使うのは避けたほうがいいでしょう。


これらをふまえて、もう一度リライトしてみましょう。



●タイトル例3(リライト例)

【離婚協議中の紗栄子宅にHGがお泊り】


離婚協議中ならばその事実をズバリ冒頭で伝えます。冒頭にはなるべくインパクトが大きくて広く注目を集めやすいワードを使うという基本に合わせるのです。


あなたは結婚に興味はありますか? たとえ今はなくても結婚というものが存在していることは当然知っているし、人生というくくりで考えたときに、する・しないにかかわらず結婚について全く考えたことがないという人は少ないでしょう。


みんなに関係すると思えるもの、みんなが興味を持っていると思えるものの代表選手が結婚です。これに関連して離婚というのもありますよね。


だから「離婚」を冒頭に置くのです。これは強力なワードであり、かつ紗栄子さんについての情報を伝えることができ、さらにその前フリが生きる話題を後半に置けるのですから、たとえ説明ワードに思えてもこれは「使ったほうがいい説明ワード」です。(原則は説明ワードは控える)


それで、離婚協議中の紗栄子さん宅にいったい誰がお泊りしたのか?


ここでは「芸人」ではなく、そのものズバリの芸名を使います。なぜなら先ほどの例にあるように「芸人」というワードを使ったのでは、それは女芸人ではないかという推測をされて悪い意味で焦点がズレてしまうからです。


誰が泊まったのかといういちばんおいしいところをタイトルでネタバレしてしまうのは、普通はダメです。でも今回の例ではOK。だってその芸人の芸名と芸風が特別だからです。


レイザーラモンHG


タレントは芸名が命ともいいますが、これほどおいしい名前もなかなかありません。ならばその魅力を最大限に使わせてもらいましょう。


HGの意味するところは、本人がいうところのハードゲイです。とはいえ彼は結婚していますから、まぁ芸風というわけです。


ほんとうのハードゲイなら、離婚協議中の女性宅にお泊りしたとなれば……。


あくまで芸風のハードゲイなら、離婚協議中の女性宅にお泊りしたとなれば……。


どちらにしてもHGがお泊りしたというのですから、それはどういうことだ? と知りたくなるでしょう。


たとえ「紗栄子もHGも全く知らない」という読者だとしても、離婚協議中の女性宅に「HG」という名前だかあだ名だか通称だかわからない者が泊まったというのはけしからんのではないかということで、その詳細を知りたくなる、かもしれません。


射程範囲を広げて距離を伸ばすとは、こういうことです。


離婚協議中の女性宅。お泊り。HG(ハードゲイ)。


3つの組み合わせにより「どういうことか?」とその先を知りたくなるような「不安定さ」を作るのです。


タイトル作成では、けっして安定してしまってはいけません。安定したものなら誰だってちょっと練習すれば楽に作れます。


できてあたりまえのラインではなく、その先の「あえて不安定に」するラインまでもっていくのです。


不安定にする技術についてもタイトル例を示しましょう。



●タイトル例4

【埼玉新聞 システム障害で減ページ発行】


ものすごぉ〜く安定していますね。もうこれ以上イジる箇所がないぐらいで安定感バツグンです。何が起こってどうなったかがわかるようになっていますね。


これが「見出し」なら、ほぼ満点。でも「タイトル」なら、ほぼ零点


なぜならスマートすぎるから。整いすぎているから。安定しすぎているから。完全にネタバレしてしまっているから。これだけで完結してしまっているから。


タイトル作成で必要なのは、読者の興味をひく箇所をつくること。より広く知ってもらうきっかけをつくること。


では、あえて不安定するとどうなるでしょうか。



●タイトル例5(リライト例)

【埼玉新聞 社会面・運動面など印刷せず発行】


どういうことだ? なぜそんなことに? と疑問が浮かびませんか?


これは「社会面と運動面などを印刷せず発行した」という事実をしっかりと伝えつつ、その先を知りたいという欲求を起こさせています。


たとえば小説では登場キャラの心情を延々と綴った作品よりも、物語世界における出来事という事実を淡々と記した作品のほうが、より深く登場キャラの心情を響かせることができる場合があります。


なぜそうなるのか。答えは想像力にあります。事実の積み重ねによって人は想像します。その力を借りるからです。


わかりやすい例文に「彼は親切だった」と「彼は毛布とスープをくれた」というものがあります。一方は意見の文で、もう一方は事実の文です。


毛布とスープをくれた彼を「親切」だと思ったなら、それは事実によって彼の人となりを想像し、その行為に対して感じるものがあったからです。


「彼は親切だぞ」と押し付けられるよりも「彼って親切なのね」と自ら思うほうがいいわけです。


だから傑作といわれるような小説は、意見の文と事実の文の配分が絶妙なのです。


もっとスゴい例としては、事実の文を積み重ねることで主人公の心情を浮かび上がらせる、こんな作品もあります。


この作品には主人公たちの内語(心情を綴ったことば)がありません。だからこそ読者は彼らの心情をより深く察することができるのです。


さて、タイトル【埼玉新聞 社会面・運動面など印刷せず発行】にしても、事実をしっかり伝えて読者が想像する「きっかけ」や「間」を作っていますね。


本来なら印刷物に抜けがあるなんてことはまずないわけです。新聞と名のつくものならなおさらだと思える。そんな常識や固定観念を覆すような出来事があったのですから、そこをクローズアップしなければなりません。


カメラワークを意識してください。まずは一部分を拡大して映すのです。そうすれば視聴者は全体像を映した引いた「画」を見たいと望むでしょう。これが逆の順番になってはいけませんのでご注意を。


魅力的なタイトル作成においては、小説や映画をつくるつもりになってみるのです。


このときゼッタイに忘れてはいけないのは、読者や視聴者の存在です。


もう一度ふたつを見比べてみましょう。


<タイトル例4>
【埼玉新聞 システム障害で減ページ発行】

<タイトル例5>
【埼玉新聞 社会面・運動面など印刷せず発行】


タイトル例4にするのは簡単です。ちょと練習すれば誰でもできますし、誰でもこのようにしたい欲求にかられるでしょう。


これを例えるならば『ドラえもん』の登場キャラの出木杉英才です。のび太のクラスメイトの彼は学業優秀でスポーツ万能、誠実な性格でルックスも良い。なんでもできすぎるくらいにできる優等生。


多くの人は出木杉くんみたいになんでもできるようになりとは思っても、出来杉くんそのものにはなりたいとは思わないかもしれません。


なぜって、ドラえもんの主要キャラの友情の輪の中に出木杉くんが入っていることは少ないからです。


けっしてみんなに嫌われているわけでもなく、むしろ慕われてもいる。それでも『ドラえもん』と耳にしてパッと思い浮かべるキャラのひとりとしてその名前が真っ先にあがることはほとんどないでしょう。


出木杉くんは、いちおうそういうキャラがあればOKなのです。居ればまぁ便利かな、というキャラの代表格というわけです。


物語でも、読者登場人物が持つその能力を手に入れたいと願うからといって、そのキャラ自体になりたいとはおもわず、また特に応援したいとおも思わないことがあります。その代表選手が出木杉くんなのです。


一方で、応援したくなる好きなキャラといえば、のび太くんです。


タイトル作成でも、作成者がスマートに整っているものを作りたいと願うものと、読者がその先を読みたい・知りたいと願うものとは違います。


魅力的な作品を作りたかったら、出木杉くんを主人公にしてはいけません。


同じように、魅力的なタイトルを作りたかったら、出木杉くんではなく、のび太くんを目指さなければならないのです。


ひとことでいうなら、うまくやろうとしないことです。自身が望む「うまくできた」は、自己満足に終わることが多いからです。(読者が望む「うまいかんじ」はおおいにOK)


ということで、あえてスマートにはせず事実の文の力を用いてタイトル例5のようにするのは一見すると不恰好に思えるかもしれませんが、この不完全さや不安定さこそが、魅力的なタイトル作成の技術力の表れなのです。


★人は自分が思っている以上に視野が狭く、先入観で物事をバッサリ切り捨てる。だから、数多くの「狭い箇所」に少しでも触れやすいワードを用い、ときに固定的な観念をあえて覆すような不安定さを演出する。それが魅力的なタイトル作成の極意。


★出木杉くんではダメ。のび太になれ!



-----------------------
※本サイトでは「わかりやすく伝える」「日本語」「魅力的なタイトル作成法」について本記事のほんの一部しかUPしていません。旬な内容を読みたいお方は、メルマガにてどうぞ。

メールマガジン
▼「わかりやすい日本語で(Plain Japanese)」
明快な文章の書き方。みるみるわかりやすい文になるリライト術を公開。人目を惹くタイトル作成法から、わかりやすい案内文、説明文、広告文、お知らせ文の書き方まで。
86日でフォロワー1万超 できる1万突破!「ツイッターでつぶやく技術〜140字で魅せる方法〜」連載中。


<おすすめの書籍>

日本語の作文技術 (朝日文庫)日本語の作文技術 (朝日文庫)
本多 勝一

朝日新聞社出版局 1982-01
売り上げランキング : 692

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


全米NO.1のセールス・ライターが教える 10倍売る人の文章術全米NO.1のセールス・ライターが教える 10倍売る人の文章術
ジョセフ・シュガーマン 金森 重樹

PHP研究所 2006-03-16
売り上げランキング : 4891

Amazonで詳しく見る
by G-Tools